ワーク・中二病・バランス

 むかーしむかし、というほど昔ではないけれど、じゃあいつなのかと具体的に聞かれると口ごもるくらいの昔、少年あめあられは、会社員になって灰色のオフィスで働くなんていう灰色の人生は絶対に送りたくない!と思っていました。実際には思っていただけではなく、周りの人間にも同じことを言っていて、たぶん同級生には相当痛いやつだと思われていただろうし、ましてや大人にどう思われていたかなんて考えたくもありません。今のおれからすると、そう言い切れる昔のおれが羨ましくもあり、恥ずかしくもあり。ただ、今のおれは、昔のおれが馬鹿にしていた会社員を目指していて、よっぽど会社選びを間違えなければ、会社員になってそれなりに幸せな人生が送れるのだろう、とすら思っています。まあ今年は就活失敗したんですけど。来年は頑張りましょう。果たして本当に頑張れるのでしょうか?

 話は戻ります。じゃあ少年あめあられは一体全体将来何になりたかったのだろう、とふと思いました。大学の研究室で論文を読むふりをしてずっと考えました。ところが、これがまったく思い出せないのです。昔のおれは、灰色の人生を拒んでいたからには、きっと何かなりたいものがあったに違いありません。なんだったのかなあ。眩しい。

 こんなつもりじゃなかったのになあ、という思いは絶えないけれど、もう止まれないみたいで、これから、なんとなく就職して、なんとなく終わっていくんだと思います。それが嫌なわけではないし、むしろ望んでいることでもあるはずなのに、すこしだけ悲しくなるのです。中二病を完治させないとだめなんでしょうね。でも、まだ中二病にすがっていたいと思うおれがいるのも事実です。中二病、完治させなきゃだめでしょうか?これからも、うまく付き合っていくことはできないでしょうか?なんといったって、中学の頃からの腐れ縁なので。やさしくしてくれ、中二病にも、おれにも。